書籍『一瞬で心をつかむ文章術』
文章を素早く書くためのたった一つのコツ=しっかりと考えてから書き始めることが書いてある本。
1|苦手には理由がある
それは、たった1つのコツを知らないから。
コツを知らない人(書くことが苦手な人)のパターン
- 何を書いていいか、わからない
読書感想文を書いても、特に感想がない。テーマを与えられても書くことが頭に思い浮かばない。 - 考えを”文章化”できない
書くべきことが漠然と頭にはあるものの、考えがまとまらない。頭の中がごちゃごちゃで整理できないのでどう書いていいか分からない。 - メンタルな理由で書けない
人に読まれると思うと萎縮する、読みにくいと指摘されてから自信がないなどの苦手意識。
コツを知らない人は、文章が何かを理解していない
文章とは、「書くために書く」のではなく「読者」がいるもの
美しく整った文章で、村上春樹さんの小説に出てきそうな比喩表現を散りばめてもダメ。「何かを伝えたい」といった思いが、文章から感じられる必要がある。
自分で食べる食事は最小限の手間しかかけない。それは、自分へのメモ書きと同じようなもので、自分だけ分かれば良いということになる。
しかし、誰かのための料理は作ったらそれでおしまいではなく(作った料理を捨てるのではなく)、作ったら食べてもらうように、文章も書いたらそれでおしまいではなく、書いたらそれを読んでもらうもの。
つまり、文章は「読者のためにある」。
人に読んでもらい、言いたいことを理解してもらう。
全ての文章は、そのために書かれている。
たった1つのコツ=しっかりと考えてから書き始めること
結論。これらを「しっかりと考えてから書き始める」だけ。
- 何を書くべきか
- どう書くべきか
- どんな順番で書くべきか
2|テーマ、読者、目的を考える
最初に考えるのは
- テーマ
- 読者
- 目的
テーマ|「何について書くのか」を考える
心をつかむ文章のテーマには、ある法則がある。
心をつかむ文章のテーマは疑問文にできる
疑問形になるテーマが最初にあり、問いの答え=結論(結論にいたる理由、補強する根拠、具体例)など、それらが1つとなり文章を形作っていく。
テーマが大きすぎると資料も集めにくくまとまらないため、絞り込みが重要。
- スイスはなぜ、永世中立国になったのか?(スイスがテーマでは大きすぎる)
- スイス・アルプスはなぜ、世界中の人を魅了するのか?
テーマは読者が興味を示すものでなければならない
自分が書きたいことではなく、読者が読みたいもの(=テーマ)を書く必要がある。
人が関心を示すテーマ(訴求ポイント)は、12の定番がある。
- 収入を増やす
- お金を節約する
- もっと健康に
- 医療対策
- 老後の安心
- 喜び
- 家事をもっと楽に
- 快適さ
- 脂肪をもっと減らす
- 心配から解放される
- 仕事で成功する
- 名声
- 作者: ジョン・ケープルズ,神田昌典,齋藤慎子,依田卓巳
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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ターゲット|「誰に伝えるのか」を考える
誰が読むか=ターゲットを考える。
同じニュースでも、主婦向けの午後のワイドショーと、衛星放送の硬派なニュース番組では、取り上げ方が変わる。これは、読み手の視点の違いによることが理由。
例)なぜ爆買いするのか?
ワイドショーでは「日本製の炊飯器やウォシュレットが人気だから」となるが、硬派なニュース番組では「円安や経済成長著しい中国の富裕層」に注目することになる。
例)エコカーをおすすめする
読むのが主婦なら「燃費の良さ」を強調してガソリン代がどれだけ節約できるかを書く。車好きの男性なら「エコカーなのにスポーツカー並みの加速感」を強調する。
ターゲットが決まると言葉も決まる
例)世界ふしぎ発見!
中学生でもわかる言葉。
例)とくダネ!
情報源を100%テレビとしている主婦を想定して、分かる言葉。
ターゲットは、漠然とさせずに特定の個人(知っているあの人)を想定して書く
年齢、性別、主婦、会社員、地位、趣味嗜好などを想定するだけなく、
ずばり特定の個人をイメージするのもアリ!
- 個人的な手紙やメールを書くつもり書いてみる
- 電話でその人に話すつもりで、考えをまとめてみる
想定読者と対話しながら書き進める
想定しておくことで、「こういうことを書いたら、想定読者はどのように感じるだろうか?」と想像しながら作れる。
読書とは著者との対話である。
著者が読者の気持ちを想像しながら書いていなければ、対話が成立しない。
こういう謎フリをすれば、想定読者は、、、
- 「それはどういうことなのだ?」と思うはずだと想像する。
- 「でも、一概にそういうことは言えないだろう」と反発すると想像するので、「もちろん異なるケースもある。しかし、、、」と続ければ対話が進むと想像する。
目的|「何のために書くのか」を考える
何のために書くのか、その目的について考える。
目的次第で、盛り込むべき情報が変わる、切り口もも変わる、展開とまとめ方も変わる。
目的を明確にせよ。相手と情報共有したいだけなのか、相手に納得してもらい行動してもらうためなのか、自分の意見に共感してもらうため なのかなど。
- 企画書:企画を通すこと
- ブログ:ファンになってもらうこと
- ラブレター:思いを伝えるのではく、好意を持ってもらう/付きあってもらうこと
テーマ、読者、目的を考えるのまとめ
これらが決まって、はじめて文章が決まる。
テーマ(何を)
- (書き手が伝えたいことではあるものの)読み手が関心を示す基本12分類のテーマに収まっている必要がある
- 疑問文にできる
ターゲット(誰に・読み手)
- 漠然としていないターゲット
- 言葉選びに影響する
- 対話に影響する
目的(何ために)
- 書き手が達成したい目的
3|材料(ネタ)を集める
材料=情報集め
情報とは、問いに対する答えを補足するための事実や他の人の分析・意見、データなど。情報集めは、情報がなくて困ることよりも、多すぎたり、内容が矛盾して困ることが多い。そのため、テーマ、ターゲット、目的を明確に意識し続けることが最重要。
優先順位
材料選びの優先順位は、伝えたいことをどれだけ強く支えてくれるかどうか。
良い素材
- 事実・事例
「実際に、、、といった事例がある」 - 比較(他人、他者、諸外国)
「競合しているA社では、、、」 - データ・数字(裏付ける)
「上半期の売上 xxxxxx円」 - 引用(名言・格言)
「”時は金なり”と言いますが、、、」 - 過去の出来事・物語
「1964年の東京五輪では、、、」 - 意見(識者や第三者)
「この件について東大教授の〇〇氏は、、、」
悪い素材
- 根拠の曖昧なもの
噂、インターネットの情報 - 偏見や個人的好き嫌いの混ざった意見
- 他の材料と矛盾する材料
- テーマと関係ないこと
- 意見ではなく想像や推定
素材選択で重要なこと
- オリジナリティがあるもの
- 新鮮なもの
- わかりやすいもの
素材集めのステップ
メディア特性を考慮する。
- ネット
インターネットで最新の全体像(相場観=あたり)をとる - 書籍・新聞・雑誌・レポート・白書
本格的な情報入手をする
材料を理解する
材料は集めたらちゃんと咀嚼・理解・吸収すること。その上で、自分の中から出た言葉でないと、読み手には決して伝わらない。
材料をザックリと並べる
箱書き
箱書きを作って整理する。
例)次のオリンピック開催による東京の変化
- 2016年の五輪でリオデジャネイロはどう変わったか?
- 東京同じく、成熟した都市で、戦後2度目の五輪が開催された、2012年のロンドンはどう変わったのか?
- 2020年に向け、東京はどう変わろうとしているのか?
付箋のwebサービス『RealtimeBoard』
アウトラインで3つの見出しを作る
アウトライン作り= 階層に分けて整理
アウトラインを最初に作り上げることが、長文の文章を早く書きあげるためのポイント。
- 大見出し
- 中見出し
- 小見出し
『workflowy』を活用する。
4|組み立てる
同じ材料で文章を書いても、どういう順序で要素を並べていくか=組み立て方次第ででき上がりは、全く別物になる。
組み立ての黄金パターンをマネよう
武道(剣道、柔道、空手、合気道)でいう基本の型が、文章でいう組み立ての黄金パターンである。
- 序論
- 本論
- 結論
序論
序論とは、テーマの紹介。
ここでは「この文章が、どのような問いを持っているか」を明らかにする。
例)日本人がラーメンを愛している理由
- 和食でもないのに”国民食”と言われるラーメン。
なぜラーメンはここまで日本人に愛されるのか?
助走
助走(エピソード・データ)を入れても良い。
例)日本人がラーメンを愛している理由
- エピソード|先日、大行列ができていたので何かと思ったらラーメン屋だった。
- エピソード|ボストンを訪ねたら、日本のラーメン屋が人気だった。
- データ|日本人が1年間に食べるラーメンは1日平均80杯との調査結果がある。
問い+結論(序論)
結論を序論に持ってくるか、本論に入れるかは、構造的にはそれほど変わらない。
例)日本人がラーメンを愛している理由
- ラーメンはなぜ、国民食となったのかというと、
私は〇〇〇だからだと考える。
『古畑任三郎』
- 犯人が最初にわかるが「どんなヒントから事件の真相を暴くのか」を楽しみに視聴者はドラマを見る
『江戸川乱歩』
- 正統派の推理小説
本論
本論は文章全体の7~8割程度を占めるメインディッシュ。
「本論」は「序論」の「問い」に対する「答え」のパート。
自分の主張したいことに沿った根拠や具体例を積み上げていく部分。
結論
念を押す最後のまとめ「終わりの合図」のようなもので、いい文章はここで「読んで良かった」と思わせる読了間の良さを与えなければならない。
問いに対して明らかにした応えに、納得させて読み手をスッキリとさせる部分。
また、読み手に行動をうながすので、結論の重要な役割。
結論には、テーマや内容・目的別に様々なパターンがあり、どのパターンが良いか一概に言えない。迷った時は、もう一度、話を始めたところまで戻って終わるようにすると、スッキリとまとまる。
(様々な終結のパターンがあるが)スタートに戻る形で終わるのがもっとも快い終結である、とは言えるだろう。文章はそれで輪を成して、自ら閉じた形となるからである。
本論の黄金パターン
時系列
- 朝 → 昼 → 夜
- 昨日 → 今日 → 明日
- 最初にやること → 次にやること → 3番目にやること
例)ラーメンはなぜ、国民食となったのか?
- ラーメン夜明け前
水戸光圀が、日本人として初めて中華麺を食べる。 - ラーメン黎明期
開国した港町に中華街が出現。
横浜南京町に数軒の中華料理店が営業開始。
明治中期、横浜中華街で、南京そばの屋台が引かれ始める。
1910年、浅草に「来々軒」が創業。店舗を構えたラーメン専門店としては、日本初の店。 - ラーメン定着期
戦後、中国からの引揚者によるラーメンの屋台が全国に出現。
東京に「春木屋」、札幌に「味の三平」などの老舗が全国に続々開業。 - ラーメン発展期
1958年、初のインスタントラーメン「日清チキンラーメン」発売。 - 結論
ラーメンは「中華そば」と呼ばれていたが、「ラーメン」という呼称が全国的に広まった。
これをきっかけにラーメンが家庭の味となり、一気に「国民食」として広まった。
※参照「ラーメン博物館 HP」
現在・過去・未来
『タイタニック』や『スタンド・バイ・ミー』が代表的例。
例)ラーメンはなぜ、国民食となったのか?
- 現在
現在、ラーメン店は全国に35,330軒、インスタントラーメンは年間40億食が食べられている。 - 過去(歴史)
開国後、横浜中華街に、南京そばの屋台が登場。
戦後、引揚者がラーメンの屋台を全国に出店。
1958年、初のインスタントラーメン「日清チキンラーメン」発売で「中華そば」と言われていたラーメンの「ラーメン」という呼称が全国的に広まった。歴史をたどればそれが大きなきっかけとなっていた。 - 未来
今や海外でも日本のラーメンは大人気。日本の国民食は、やがて世界の人々に愛される「世界食」になるのではないだろうか。
大状況・中状況・小状況
多くの人が関心を寄せる状況からよりピンポンとなテーマへ移行する時に有効。
伝えたいテーマがあまり周知の事実でないときでも、多くの人に共感してもらえる大状況から入れば、あなたが伝えたい狭いテーマにフォーカスさせることが可能。
例)ラーメンはなぜ、国民食となったのか?
- 大状況|現在のラーメン市場の規模
- 中状況|とんこつラーメン市場の伸び
- 小状況|とんこつブームのけん引役「博多一風堂」
PREP法
相手の気持ちを動かしたり、行動を促したりするときに有効。
なぜなら、読み手の気持ちに呼応する構成だから。
- 要点
要点を最初に述べることで「なるほど、そういう主張か」と読み手は概要を理解し、読むための準備ができる。 - 理由
つぎに読み手は「なぜ、そう主張するのか?」と疑問を抱くので、すかさず「理由」を書いて、その疑問に答える。 - 論拠
ざっくりとした理由だけでは、まだ読み手は納得できていないので、続けて「具体例、あるいは論拠」を示せば、「なるほど」と思ってもらえる構成。 - まとめ
冒頭に述べた要点を、より強調しながら「まとめ」て印象づける。
例)ラーメンはなぜ、国民食となったのか?
- 要点|日本人は本来、麺が好きな民族だから
- 理由|世界にこれほど麺好きな国民はいない
- 根拠|主要国との比較データ
- まとめ|やはり日本人は麺が好きな民族だ
例)デートのお誘い
- 要点|今度、一緒にランチ行かない?
- 理由|とてもピザがおいしい店を見つけたんだ
- 根拠|とくにマルゲリータが絶品らしい
- まとめ|一緒に行ってくれるとうれしいな
ホールパート法
並列の理由を述べるときに有効。
全体像(ホール)を伝えてから、各論(パート)を説明していけば、情報が整理されます。各論(パート)の数を最初に示すことがポイント。読み手もメモを取りやすく、理解への準備が整う。
ダメな例)私が夫婦別姓に反対する理由
- 同じ姓は家族の一体性の象徴である。
- 夫婦別姓を容認すると、子供がいじめられる可能性もあるのではないか
- だから夫婦別姓に反対だ
- また日本の伝統的な墓や祖先崇拝の風習がすたれることがもあるだろう。誰も守る人のいない、荒れた墓が増えるのだ。
思いつくままに書いているため、情報が整理されておらず、読み手は理解が難しいことがダメな理由。
よい例)私が夫婦別姓に反対する理由
- 全体 |夫婦別姓に私は反対だ。理由は3つある。
- 各論1|同じ姓は家族の一体性の象徴であること
- 各論2|別姓で子供がいじめられる可能性があること
- 各論3|墓や祖先崇拝などの日本の風習がすたれること
- 全体 |以上の理由から、私は夫婦別姓に反対だ
例)ラーメンはなぜ、国民食となったのか?
- 全体 |日本人ほど麺好きな民族はいないからだ。理由は3つある。
- 各論1|ラーメン店の数が世界一多い
- 各論2|インスタントの種類が世界一豊富
- 各論3|蕎麦やうどんといった麺類も世界一豊富
- 全体 |以上の理由から、やはり日本人ほど麺好きな民族はいない
組み立て方のまとめ
材料さえ、きちんと揃えておけば。フレームに従ってアウトラインで構成を作ることは、それほど難しくない(とのこと)。
- 階層構造が、はっきりと分かるようにすること
- アウトラインは書き始めてから変更して構わないので、気分を楽にしてとりあえず作ってみる
- 序論・本論・結論と書く
- 序論へテーマを書く
- ホールパート法の項目(全体|各論1|各論2|各論3|全体)と
全体へ考えた全体像を書く - 各論1|各論2|各論3へ、
材料から言いたいことを支える代表的なこと3つを書く - 1行下げた各論へメモを加える
最後に、結論へスタート(序論)に戻る形で終わるように書く
神話のパターン
神話の多くは、「大事なものが欠けた」状態にある人物が、「ここではないどこかへ冒険にいって、大事なものを持って、帰ってくる」構成。
エンターテインメントなストーリーでも
同じ3部構成が活躍
- 序論|何かかが欠けた状態で、何かが欠けた主人公が旅に出る
- 本論|出会った仲間と共に苦難を乗り越えて成長する
- 結論|最大の壁を乗り越え、欠けたものを満たして帰る
5|書き始めよう!
6割のできで構わない
アウトラインを作ってから、文章を書き始めると、いつもよりもはるかにスムーズに、文章が書けるはず。
それでも書き始めることができない、そういう人は、最初から完璧な文章を書こうとしているのでは?
残りの4割は後で考える
パソコンならいくらでも後から書き直せるし、構成の入れ替えも、コピペで一瞬にできる。
旨いたとえが見つからないときなどは、「たとえるなら〇〇〇のようなものだ」とだけしておいて、後で考えてもいい。
時間配分
6割のできの文章は、とうてい人さまにお見せできない。
見直し時間の2割を考慮して、余裕を持って早めに期限を設定すべし!
- 考える|4割
- 書く |4割
- 見直す|2割
あえて、キリの悪いところでやめる
いったん作業を中止するときは、キリのいいところで終わらないようにする。
ゼロから、それまでと内容の異なる新しいブロックを書き始めるよりも、流れの途中で中断したほうが、再起動するときに続きが書きやすくなるため。
アウトラインから文章化する方法
まず、意見を書いてから、それを支える事実を書くことを基本とする。
パラグラフ=自分の 主張|感想|意見 に、それを支える 事実 を加えて完成。
事実
-
主張を裏付ける根拠
- 具体例
- 統計データ
- 具体的な数字
- エピソード
- 体験談
例)ラーメンは味噌味がいい
- 主張 + 事実(根拠)
ラーメンを食べるならば味噌味がいい。
なぜなら味噌味は発酵食品で健康にもいいからだ。 - 感想 + 事実(具体例)
ラーメンは味噌味がもっとも美味しいと思う。
実際にラーメンフェアで一番、行列ができていたのは味噌味のブースだった。 - 意見 + 事実(データ)
ラーメンは味噌味に限る。
アンケート調査でも53%の人が好きだと答えている。
割合
意見と事実の1パラグラフあたりの割合。
- 主張、感想、意見|2割
- 事実(根拠など)|8割
接続
意見と事実は、主に接続詞でつなぐ。
- 意見 + 根拠|なぜなら
- 意見 + 具体例|たとえば
- 意見 + エピソード|実際に先日、/私がそれを実感したのは、
6|書き出しに迷わない
とりあえず、ここまで。